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2009.09.07 (Mon)

選択肢としての南米


選択肢としての南米



昨今、世界の製造工場となった中国へ
乗り遅れるな、とばかり、中国へ中国へと
官民上げて進出していることにも北原は
危惧を覚えていた。

昨今の中国の言動をみても中華思想が
骨の髄まで染込んでいる彼等は、
日本をあたかも属国扱いしている。

勿論、お隣の大国を無視することは
出来ないが、日本の欠点は
時計の振り子の様に極端に左右に
ぶれることがあげられる。

バブル時代のアメリカ一辺倒の進出、
東京首都圏の土地代でアメリカ全部が
買えるとばかりにアメリカの不動産、
企業の買い占めに走る。ーかと思うと
自信喪失の閉じ籠り症候群におちいる。

ヴェトナムがいいとなればヴェトナムへ、
そしてそれっとばかりの中国詣で、
これは国民性なのだろうか?
もっとバランス感覚が求められる。

そんな日本の視野から南米が
スッポリ抜け落ちている。
これは一面無理もない点がある。
60年代、
「21世紀はブラジルの世紀!」と
ブラジル進出ブームが生じた。
大挙してブラジルへ企業が進出。

やがてブラジルのバブルが弾けて
日本企業の撤退が始まる。

そしてアルゼンチンやボリビア、
ペルー等の相次ぐハイパーインフレなど
南米イメージが極度に悪化した。
今、日本の企業のトップ層には当時、
ブラジルに進出して痛い目にあった人が
大勢いるのも南米進出に積極的にならない
理由の一つだとする向きもある。

様々なリスクをかかえながら南米の
ポテンシャルは、大きい。
さらにメリットとして上げられるのが
南米の日系人200万余の存在である。
南米に進出する日本企業にとって彼等の
存在は強力な戦力となる。

さらに日本在住の南米出身就労者35万人も
中堅指導者として心強い助っ人として
活用出来る。
そして日本国内では全く知られていない
メルコスール(91年アスンシオン条約に
よって創設・南米南部共同体)の存在も
見逃してはならない。

これはアルゼンチン、ブラジル、
ウルグアイ、パラグアイの4カ国の
正加盟国の他、ボリビア、チリ、ペルー、
ベネズエラ、メキシコ なども
準加盟国となっている。

北米大陸にはアメリカ、カナダ、メキシコの
3国の北米自由貿易協定
(NAFTA・89/1)がある。

パパブッシュ元大統領により提唱された
「アラスカからフェゴ島まで」を合い言葉に
始まったFTAA・米州自由貿易圏
(90/6)だが、ブラジルなどの消極的な
態度もあって目標の2005年度成立は
出来ず、その実現性も危惧されている。

メルコスールは、対アメリカとの有利な
交渉カードとしてEUとの交渉も進めている。
EUとの自由貿易協定では今後10年間で
90%前後の関税を撤廃するという野心的な
目論みが交渉計画に盛り込まれている。
勿論、この交渉も簡単に進展しないとは
思われるが、離陸を始めつつある
南米経済圏は今後目が離せない
発展地域である。

日本はFTA後進国だが05年、
やっとメキシコとFTA交渉を合意し、
アメリカ大陸にくさびを打ち込んだ。

しかし、南米との交渉は、遅れに遅れており、
やっと日伯、日亜間の経済委員会が
2004年年初、発足したばかりだ。



草の根ベースを基調とする対南米外交を



北原は日本の対南米戦略を次のように
考えている。
日本政府の国際戦略の中で南米という
選択肢がない現状下、民間ベースの南米との
経済交流を促進させるしかない。

アジア、アフリカなどの植民地経営の経験を
持つ欧米諸国は独特のしたたかな
国際戦略を持っている。

近年、発展途上国への経済援助が
政府間ベースから途上国の草の根レベルへと
シフトされてきた。

日本は従来、アメリカや国際機関などに
言われるままお金を出してきた。
その最たるものが湾岸戦争時の拠出金である。
お金さえ出せばそれで責務は果たしている。
と後は知らぬ振りだ。

所が欧米は違う。たとえ僅かなお金で
あろうと、出す以上は自国の国益を
最優先する。
国際機関であろうと発展途上国であろうと
内政干渉批判も何のその箸の上げ下ろしから
始末までうるさく指図する。
日本のマスコミはおろか政治家も国民も
殆ど知らない莫大な金が世界銀行など
国際銀行に拠出されている。
しかし、その使い道について日本政府は
全く関知してない。
まさにこれらのお金はいわゆる国際銀行
マフィアの都合の良いように使われている。

お金を出した関係官庁の役人は
「日本のお金は“ひも付き”じゃないので
喜んで使われており感謝されています」と
鼻高々だ。
そりゃ~、彼等国際金融マフィアにすれば
どのように使おうが何の文句もつかない
お金だから、こんなありがたいことはない。
腹の中では舌を出して笑っているだろう。

発展途上国に出しているODAにしても
随分無駄が生じている。
例えばあるA国と1995年、
農業発展強化プロジェクトの調印を
政府間ベースで締結したとしよう。
所が、得てして途上国の大臣や局長級は
コロコロ変わる。
従って10年経過しても1件の道路も
農業用水も出来ないでプランは
「絵に描いた餅」というケースも珍しくない。
これらの反省から欧米国は途上国内に
自国系列のNGO等を強化して
草の根援助やビッグプロジェクトを
実施させている。

これもB国での例だが、その国が
ある先進国から道路借款供与を受けた。
所が何年経っても道路工事が進まない。
業を煮やした当地域の日系人幹部が政府に
直談判して「その道路工事を自分達に
委託して欲しい」と頼みこんだ。
政府も了承し、その日系人が中心になり
当地域で道路促進委員会を設立して、
彼等が主体になって工事を推進した所、
政府が試算した半分の予算と期間で工事が
完了して政府を驚かせた。

南米の途上国の一隅に住んでいる立場から
見ると日本は本当に初心(うぶ)な
少年のようだ。
日本のODAが縮小し、アジア、
アフリカへとシフトする中、もっとODAの
やり方を国益中心に根本から見直さないと
日本の国際協力資金はドブに
捨てるようなものだ。

北原はこれからの日本の国際戦略は
外務省や関係機関だけに頼らず民間の
NGO等を活用しないと日本の国際音痴は
治らないだろう、と考えている。
またその為に南米シンクタンク的なものを
作りたいと北原は計画している。

南米復興は勤勉、正直、真面目の日本人の
DNAを持つ日系人がリーダーシップを
とる方が良さそうだ。

かってのペルーの例がその事を象徴している。
前任のアラン・ガルシア大統領 時代、
ペルーの荒廃はひどいものだった。
それがフジモリ大統領の登場によって
一変した。 テログループの撲滅、
へき地への学校建設等々、
枚挙にいとまがない。

フジモリ大統領になってリマ国際空港に
降りて北原はそのフジモリ効果に感嘆した。
税関吏の賄賂も根絶し、清潔感あふれた
空港は明るくなるし空港職員の対応は
親切になった。
空港からリマ中心部への進入路の荒廃した
灰色のくすんだ壁群もきれいになっていた。

日本滞在中、ある雑誌の対談企画で
フジモリ大統領が話題になり、北原は彼を
賞賛した。
ところがその雑誌社の編集長は
「フジモリ大統領は日本では犯罪人扱いで
イメージは最悪ですよ」と半ば
揶揄するような口調で言った。

(アホか!)北原は暗たんたる
気持ちになった。
日本の大手雑誌社の編集長でさえ、
フジモリ排斥を企図した反対派の情報操作に
引っ掛かってこの程度の理解、認識しかない。
フジモリ大統領が誕生した時、
どれだけペルーを初めとして南米の
既得権益を持った欧米系の支配層や
欧米メディアが非難論調を展開したことか…。

南米で東洋系のリーダー登場は
彼等にとっては、あり得べからずのことだ。
橋から落ちた犬は叩けのことわざ通り、
ペルーの現政権は彼を攻撃し続けている。

トレド大統領になった途端、
ペルーはまた元の木阿弥に戻った。
さらに信じられないことにペルーを貧困の
どん底に陥れたあの亡国の大統領、
アラン・ガルシアが2006年の
大統領選挙で再び大統領に帰り咲いた。


名古屋から東京へ



7月6日夜、東京に新幹線で戻る予定に
なっていたので午後、車は豊橋から
名古屋に向った。
名古屋迄約3時間、名古屋駅前で
勝俣健と落ち合うようになっていた。
昨日、今日と愛知県下を運転と随行して
くれた世界緑化協会スタッフに交代して
勝俣が横浜まで選挙カーを深夜運転で
運ぶ事になっている。
名古屋駅前に着いた時、
既に暗くなっていた。
駅前の駐車場脇で駅に着いた勝俣に
分かるようにマイクのボリュームを上げて
愛知県最後の街頭演説をした。
勝俣は間もなく北原らの車に近寄って来た。

北原と優子は新幹線で横浜に向う。
横浜駅前のホテルで東清隆選挙参謀、
斉藤浩一事務局長と落ち合う事にしている。
重点選挙区の愛知県だったが、
何も効果的な成果を上げる事は出来ず
北原には徒労感のみが広がった。
彼等日系就労者たちに直接ボールを
投げたかった。
しかし、結果は彼等の守備エリアの外側に
空しくボールは転々と転がった。
新幹線車内で遅い夕食の駅弁を二人、
ボソボソ食べた。
新横浜駅手前で進行方向左側を
注視していたら指定されたホテルの看板が
見えた。
新横浜駅で降りてトランクを
ガラガラ引いて二人はホテル方向へ
歩いて行く。
途中で出口を間違ったのか、
駅前にそのホテルが見当たらない。
また構内に戻って道を尋ねる。
何人かの人に尋ねるが誰も知らない。
仕方ないのでまた外に出て見当をつけた
方向にガラガラゴロゴロ歩いて行く。
やっと看板が前方に見えた。
東と斉藤はまだ来ていなかった。
チェックインして部屋に入る。
やがて二人が到着した。

いよいよ明日から首都東京遊説だ。
日本の選挙で外交や国際問題は票に
結びつかないと云われてきた。
極言すれば日本人の関心は各人の
「生活圏の半径5キロメートル」以内の
事しかないと云われる。
しかし、北原としては日本外交の欠陥や
国際問題を声高に訴え続けるしかなかった。
日本の最大課題は、財政破綻状態の
大きな政府から小さな政府への転換である。
「国家の本来の任務は『夜警』であり、
治安、防衛、外交のみである」
(フェルナンド・ラッサール。
全ドイツ労働者協会の創設者)。
小さい政府になればそれに伴って各人の
「人生哲学の転換」が急務となる。
つまり、小さな政府への移行と共に
「親方日の丸」的、年金、福祉全般で
個人及び社会全般の「おんぶにだっこ思考」
から自己責任、民間互助体制への
頭の切り替え、移行が必要となる。
その次の課題として「少子高齢化」が
上げられる。 国連の人口部の試算によると
日本の生産人口を外国人労働者の受け入れで
補うには毎年65万人の外国人労働者が
必要とされている(朝日)。
不可避の外国人労働者の受け入れ体制に
向けての法整備および国民の
「ガイジン・アレルギー」の
意識改革が迫られる。


今、そこにある危機 「中国問題」


今、そこにある危機として「中国問題」
がある。北原は世界緑化協会(NGO)の
国際理事会に出席した際、中国国内で
40年にわたり環境問題などに
取り組んでいる某氏から中国の凄まじい
旱魃の実態の話を聞くとともに
生々しい写真を見せてもらって
ショックを受けた。

中国の旱魃が予想以上に悪化している。
南米に於いても異常気象は常態化しており
アルゼンチンの氷河が崩壊し続けている。
中国は安い労働力で世界中のマネーと
資源を吸い寄せ食い尽くしており
アメリカと並ぶ資源がぶ飲み大国に
なりつつある。
中国リスクは先の反日デモで改めて
現実の危機として深刻に受け止められた。
中国バブル崩壊の兆候として
毎年9パーセントのGDP成長率を維持し、
16年間で10倍という奇跡的な
高度成長を続けてきたにもかかわらず、
中国の株価指数が下落しているという。
いずれにしても「親方共産党」意識の
中国バブル崩壊は必至であろう。

6年前に10ドル台だった原油が
60ドルを超えた。
近年、150ドルとの予測も出ている。
アメリカ以上の無駄遣い体質の中国が石油、
食糧をがぶ飲みしたらあっというまに
世界中の資源が消失する。
豊かになった中国がアメリカンライフ
スタイルを享受するようになった。
今や、穀物輸入国に転落した中国は
アルゼンチンの土地を買い占めている。
これからブラックホールのように全てを
吸い込む中国13億人、インド9億人を
世界はどのように養うのか?
ブラジルは中国に資源、食糧などを
輸出している。
世界最大の鉄鉱石の輸入・消費国である
中国は04年、
前年度比161・5パーセント増となり
オーストラリアから33・6パーセント、
ブラジルから27・7パーセント
輸入している。

南米発展の象徴として注目されるのが
メルコスール(南米共同体市場・ブラジル、
アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)
である。
95年、この4カ国で関税完全撤廃
することで正式発足。
現在までにチリ、ボリビア、ペルー、
コロンビア、ベネズエラ、エクアドルが
準加盟国として加入。94年末、
南部アフリカ関税同盟、05年3月インドと
自由貿易協定の前段となる特恵貿易協定を
それぞれ締結した。
さらにEU、中米統合機構、
カリブ共同体などともFTA実現に向けた
交渉を継続中だ。
ブラジルに代表される南米は世界の
食糧基地、資源供給基地として
その存在感を高めている。
しかし、日本は南米との関係強化に
あまり積極的ではないが早急に
メルコスールとのFTA締結を
検討する必要があろう。


南米大陸に200万余の日の丸がはためいている



ブラジル政府は05年3月末、
IMFの融資協定を更新しないことを
決定し、IMF支援から卒業した。
一方、デフオルト宣言をした
アルゼンチンも徐々に経済が
もちなおしつつある。
そしてパラグアイも現大統領のがんばりで
国際信用を獲得しつつある。
これら回復基調にある南米に
200万人を超える日系人が居住している。
彼らの心の中に、また彼らの居住地にも
日の丸がはためいている。
それらの旗は戦車や大砲で
勝取ったものではない。
100年になんなんとする
日系人移住者たちの労苦の末に
打ち立てられたものである。

日本政府のアジア、アフリカの
貧困問題へのシフトからJICAが
南米の日系人支援(日本語教育等々)から
撤退している。
移住100年にもなろうとする中、
当然の措置ではあるが、200万人以上の
日の丸の旗がはためいている
豊穣の地南米をこのまま放り出すのは
愚の骨頂だ。
直近に迫った中国クラッシュ、食糧危機、
日本の巨大地震等々から考えて南米は
日本にとってまさに宝のような存在である。

そこで北原は次のような提案をしたいと
考えている。


⑴世界開発事業団がこれまで日系人に
貸し付けた融資の回収金をそのまま残す
「南米・日本特別基金」の創設。

⑵南米全体の人材育成のため、
農産学総合学校としての
「サウスアメリカ・インターナショナル・
ジャパンスクール」の創設。
土地はパラグアイの
イグアス日本人移住地の
世界開発事業団の農牧業総合試験場
171haを充てる。
これは2010年
パラグアイ日系農協連合会に全面移管される。

⑶日本非常時の食糧安保体制の構築。
食糧危機は必至。アメリカの穀物メジャーは
日本の国家プロジェクトとして
日本人開拓者が汗水たらして開発して
肥沃の大地に甦らせたブラジルの
セラード地帯を買い占めている。
日本非常時に備えるモデルとして、
群馬県民の食糧安保として数年前、
群馬県安藤知事の提唱で
GAリンクス株式会社が設立された。
Gは群馬県の意、Aはアルゼンチンの意、
でパラグアイの日系農協連合会とも
協定書を交わしている。

⑷アジアポート計画。ブラジルからチリに
大陸横断道路・鉄道計画が決まっている。
南米の鉄鉱石やレアメタル、食糧をチリの
アリカ港から日本の港に運ぶ。

⑸国全体をマキラ(仲介加工貿易・
メキシコ国境沿いに保税加工地帯を
マキラと呼んだ)地帯にしている
パラグアイに重点工業団地を造成し
日本の中小企業誘致を行う。
優秀な日系人の存在。
世界1のイタイプダム、
ヤシレタダムがあり水力発電大国である。
南米のハート、パラグアイは、
近年ハブ空港としてアスンシオン空港が
脚光を浴びている。日本との移民協定で
85000人までの受け入れ枠がある。
外国資本100パーセントでも可能。
外貨の日本への送金が自由。
ブラジルは不可ー。


近未来、中国は日本に核攻撃の恫喝を
仕掛け、アメリカは日本を見殺しにするー
との衝撃的な近未来図が囁かれる中、
日本は、今こそ南米が持つ意義を真剣に
考えなければなるまい。
          (以下次号)









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タグ : 脱ニッポン日系オバマを

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