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2009.06.01 (Mon)

新連載「イグアスの風」 日系のオバマを!

 第2の故郷に日系オバマを!

  緑の魔境  グラン・チャコの焚火  


「グラン・チャコ」(偉大なチャコ)パラグアイ人は
畏敬の念を込めてこう呼ぶ。
チャコ(ケチュア語で狩猟の地を意味する)は南米の臍とも
ハートとも言われるパラグアイ国土の60%を占める不毛の荒野である。
ここは太古、海底だったが地球の地殻変動で隆起して大原野となった。
今や,アマゾンに次ぐ最後の秘境となったこのチャコでは
井戸を掘っても塩水が出て飲めない。
真水のないこの地はパラグアイ人の間で「緑の魔境」と恐れられ
僅かに狩人たちが獲物を求めて入るのみだった。

「40数年前、原生林に覆われたフラム移住地に入植した当時、
仲間と昼休みの談笑中、UFOが頭上に飛来してきて
度肝を抜かれたことがありましたよ。
以来、気になってUFO関連情報を集めたりしましてね。
車で一人、チリの僻地を探訪したことがありましたよ」と黒田。

北原は原生林に入植当時は、いろいろと不思議な現象が
起きていたことを多くの移住者たちからよく聞いた。

北原がまだ、パラグアイに移住する前、
パラグアイはUFO目撃情報が多い国である、
という記事を目にしたことがある。
パラグアイ唯一の邦字紙、南米ジャーナルの社長兼主筆をしている
北原次郎は、黒田寿男が所有するチャコの牧場にパラグアイの初秋4月、
妻の優子と友人4人と一緒に1泊2日の予定で遊びに行った。

黒田は、契約農家を通じてこのパラグアイでゴマやトウモロコシを
広く栽培しておりその収穫を日本にも輸出している
日系社会を代表する実業家だ。
さらに北原が会長を務めるNGO世界緑化協会パラグアイ総局の
副会長でもある。
黒田の牧場は首都アスンシオンから約120キロと比較的近距離に
あるので何かと都合が良かった。

北原がこの牧場に誘った友人は、アメリカのロスからきた日本人2人と
世界1の大瀑布で有名なイグアスの滝の近くにあるイグアス日本人移住地で
1000ヘクタールの大豆農場を経営している鎌田博文。
鎌田は同協会のイグアス支部の支部長でもあった。
それにNGO世界緑化協会の南米駐在代表の鈴木忠の4名だった。

同夜、黒田夫妻が開拓者好みのがっちりした
バンガローの前庭で焚火を組上げてバーベキューパーティーを催した。
パラグアイ人の牧童が一抱えもある牛のあばら肉の塊を塩とレモンを
つけてジリジリと焼き始めた。
1昨日から今朝まで降り続いた雨で一気にパラグアイも秋めいてきた。
チャコの夜は結構冷える。
南半球のパラグアイの4月は北半球の日本の10月に当る。
荒漠とした大原野の西空に真っ赤な太陽が
ユラユラと左右上下に揺れるように沈んでゆく。
やがて漆黒の闇を喜ぶように大小無数のダイヤモンドの饗宴が満天に広がる。

「日本の肉は柔らか過ぎて旨くも何ともない。
肉の旨味を味わうなら塩をまぶしただけの
このアサード(焼き肉)が一番だよ」と
ゴルフ焼けした顔をほころばせて黒田。

パラグアイのアサードの定番に必要なのはマンジョカ(タピオカ芋)だ。
それに洗面器のようなアルミのボール一杯に無造作に放り込まれた
レタス、トマト、タマネギ等のサラダである。
欲を言うならこれにオニギリがあれば言う事はない。

太古以来、闇の中に赤々と燃える焚火は人間たちの
恐れや不安、寒さを癒してきた。

「日本は今迄のように食糧や資源を買えなくなるのじゃないかな~」
と黒田。
「どうしてですか?」北原が尋ねた。
「人間の食糧であるトウモロコシやサトウキビなどが
家畜の飼料にまわされ、さらに植物燃料エタノールの原料になっている。
そして、ここ数年、南米は勿論、北米やオーストラリヤ、中国などで
大干ばつが続いている。
今年は大豆は勿論、トウモロコシ等が世界的に不足している。
今まで日本の商社は品質がどうの、コストが、どうの等、
非常に厳しい要求をしてきた。
ところが今、そんなことを言っていたら農家に相手にされません。
何しろ買手は世界中からきているのだから…」。

「中国などコストがどうのなんて関係なくバ~ンと言値で買いますよ。
それにこれまでは、農家は皆、農協に出荷してカーギル等穀物メジャーに
売っていたのが、今や現地製油メーカーが先回りして直接農家の庭先に
買い付けにきているので農協組合員でも横流しをする農家が出てきたね。
それにここ数年来、肥料、農薬が高騰して生産者は悲鳴をあげているよ」
と農業者の立場から鎌田が証言する。

食糧危機は、これまでも狼少年の戯言と笑い飛ばされてきたが、
数年来の異常気象で世界の穀倉地南北アメリカ大陸、オーストラリア、
中国等の干ばつで穀物生産量が大幅に減少し価格高騰を招いている。
さらに深刻な影響が金融危機だ。

現実にパラグアイ国内のピラポ、ラパス、イグアス等の日系移住地でも
大豆が昨年比50%以上減収となった。
さらにお隣のアルゼンチンも大干ばつで未曾有の減収となっている。

「日本の商社は現地のこのような様変わりの状況を
分かっているのかな~?」
自身、契約農家以外の一般農家から買付けをしている黒田が言う。

事実、日系農家もこれまで続けてきた大豆、小麦の栽培も連作障害等から
サビ病が出てきたり、干ばつ等からトウモロコシやサトウキビに
切り替える農家もどんどんふえている状態だ。

本来、人間の口に入るべき大豆や小麦が次々、家畜の飼料へと流れ、
さらにはバイオ燃料へと大きく流れが変わった今日、
極楽とんぼの日本はまさに非常事態を迎えている。

今、世界は金融パニックに続いて
食糧パニックという深淵を前にしている。
(続く)



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