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2008.03.07 (Fri)

呆(ほう)けよ! 軽躁なる日本人…

日本人は一見沈着冷静なようだが、
意外と右や左にぶれ易い。
そして付和雷同し易い。
これに比して英国人は物事に動じない大人の見識たる
国民性を身につけている。

―と英国贔屓の著者が著した
「大人の見識」(阿川弘之著・新潮新書)を読んだ。
これを購入したのはカミさんだ。

大人の見識 (新潮新書 237)大人の見識 (新潮新書 237)
(2007/11)
阿川 弘之

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例の「女性の品格」や「日本人の品格」や日本人の
常識シリーズと同類の本だと思って注文したらしい。

女性の品格 (PHP新書)女性の品格 (PHP新書)
(2006/09/16)
坂東 眞理子

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日本人の品格 (ベスト新書 149)日本人の品格 (ベスト新書 149)
(2007/07/19)
渡部 昇一

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カミさん、届いたその本を2、3ページ読んで
「これは、ちょっと私には…」と嘆息をついてボクに手渡した。
パラパラと目次を見ただけで納得した。

“日独伊3国同盟” “昭和の陛下の軍事学”…等々、
これは硬派の本、男性向けの本である。

阿川弘之といえば、コチコチの英国、ネイビー、
昭和天皇礼賛派で徹底的な陸軍・東条嫌い等々の
イメージがある作家で如何にもといった謹厳実直風の風貌から、
これまで敬遠していた作家だ。

本の中にパラグアイのネイビーの話が出てくる。
浅羽満夫元パラグアイ大使から聞いた話として
紹介している。

「南米のあの内陸国に海軍があるんだそうですよ。
2つの大河を行動範囲とする河川海軍ですが、
かってブラジル、アルゼンチン、相手に烈しい
水上戦闘をしたもともあり、国民は自国の海軍を
誇りにしている。その河川海軍の提督が、
『大使、ネイビーはインターナショナル。1日海軍の
飯を食ったら一生海軍』と言ったそうです。
浅羽大使が第二次大戦中、予備学生出身の士官で、
一時期“大和”乗組員だったと知っての親愛発言で
あったらしい」

成る程、読んでみると全編、英国礼賛一辺倒だ。

ボクもラグビーやってたから、英国的なものは好きだ。
特に白地に赤いバラの刺繍が縫い込まれている
英国ナショナルチームのジャージは昔、買って今も
大事にとっている。

だが、英米ダ〜イスキ、絶対服従派の人たちは
何となくうさん臭い。

先の大戦では陸軍悪玉、海軍善玉とみなすのが
これまで大勢を占めていたが、
昨今、英米協調派の米内光政、井上成美、山本五十六らは
わざと負けて日本改革を意図していたのではないか?
ーとするやぶにらみ論がチラホラ散見されるようになった。

ーとすると、アメリカに日本市場を丸ごと献上した
市場開放改革論者の忠犬ポチたちもアメリッポンと
なることによって大ニッポン帝国復活を目論む
超高等戦術かしらん?

しかし、大英帝国が培って来た「大人の見識」は、
何人といえども「フ〜ム!」と頷かざるを得ない。


この本でボクが感銘を受けたことが2つある。
その1つがボリュビオスの言葉だ。

その話は京大教授の中西輝政さんが、
教えてくれたこととして紹介している。

「ギリシャの歴史家ポリュビオスによれば、
物事が宙ぶらりんの状態で延々と続くのが人の魂を
一番参らせる。その状態がどっちかへ決した時、
人は大変な気持ち良さを味わうのだが、
もしそれが国の指導者に伝染すると、
その国は滅亡の危機に瀕する。
カルタゴがローマの挑発に耐えかねて暴発し、
滅びたのはそれだとー。

さらに付け加えて中西教授が言うには
「この言葉、近代の英国では軍人も政治家も
よく取り上げる決まり文句。英国のエリートは、
物事がどちらにも決まらない気持ち悪さに延々と
耐えねばならないという教育をされている。
世界史に大をなす国の必要条件ということです」。

そしてもう1つは、信玄の遺訓の3つの遺訓だ。

1つ、分別あるものを悪人とみること
2つ、遠慮あるものを臆病とみること
3つ、軽躁なるものを勇豪とみること

この中の3つ目の言葉が本の帯の大きな
サブタイトルになっている。

“軽躁なる日本人へ 
 急ぎの用はゆっくりと
 理詰めで人を責めるな
 静かに過ごすことを習え…”


確かに日本人は無為に過ごす時間が一番苦手だ。
だけど、最近ボクはある小さな発見をした。

それは呆(ぼ)ける、という字だ。

この字は木の上に口がある。
つまり、無為に過ごすとは、この呆の字の様に木が、
ポッカ〜ン…と大空に口を開いて大気を吸い込んでいる
状態ではなかろうか、と…。

ポッカ〜ン…と呆(ほうけ)て
無為に過ごす時間もワルクはない。



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