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2008.01.25 (Fri)

「時事斜断」曙光を見るパラグアイ経済

「時事斜断」

  曙光を見るパラグアイ経済
                   坂本邦雄



昨年、暮も迫る12月下旬、わが銀行界でも
最も堅実な銀行の一つとして知られる、
インテルバンコ(伯国系)の営業不振説が突然流布され、
顧客が口座や普通預金の引出しに殺到し
又はオートマティック・キャシャーの前に終日列を作った。

これは30日の赤党コロラドの大統領候補指名補充予選を
控えた直前に正に経済撹乱を意図し、
世論を動揺せしめんとした悪質な政治的策略であり、
近来パラグアイ経済は着実に上向きつゝある矢先に
何(なん)たる事かと、心ある経済評論家連の怒りを買った。  

かかる事態の収拾に、ヘルマン・ロハス中央銀行総裁
及びインテルバンコ支店の
クラウディオ・ヤマグチ 総支配人(日系)は
緊急合同記者会見を招集し、インテルバンコ財政難の噂は
全く事実無根の話であると説明し、平静を保つ様に
一般市民に呼び掛けた。

なお、ニカノル・ヅアルテ・フルトス大統領も
インテルバンコの堅実性は疑いの余地なきものであると
弁護に努め、この許し難い悪意の流言飛語は、
形勢が悪い赤党反主流派(カスティグリオニ)の
明らかな焦りに依った策謀以外の何物でも無い、
と非難した。

確かに、ヘルマン・ロハス中銀総裁及び
セサル・バレト大蔵大臣が主張する如く、
パラグアイ経済は2002年のゼロ成長から
2007年には6.4%に飛躍し(2006年は4.2%)、
ニカノル政権最後の最良の年であった。

ラ・ナシオン紙とのインタービューで
ニカノル大統領は述べている様に、
余り人々は理解しておらぬが(又は率直に認めたがらないが)、
最近パラグアイでは社会の平穏を乱す暴動や
民衆の決起等が見られず、政治は安定し且つ世銀、
IFM・国際通貨基金、
CEPAL・ラ米&カリブ海諸国経済委員会等の
国際機関も指摘している通り、パラグアイの経済は
着実に発展しており、次期政権に対し、
これ迄に現政府が過去4年半に蒔いた種の結実たる、
明るい未来像のパラグアイを引き継ぎ得る基本的諸条件が
今では揃ったのである。

事実、中銀の経済統計に一寸触れるだけでも
2007年の経済成長率は、国内総生産(GDP)6.4%で、
これは1981年以来の過去25年間中に
見られなかった事で、インフレも5.5%に収まっている。

尚、金融業35%、輸出業60%、輸入業35%
及び国庫徴税も20%増と夫々目立った増進振りである。
外資導入も昨年は1億8千100万ドルに達し、
2002年の1,200万ドル及び2003年は
2,200万ドルに過ぎなかった低実績に
比べて大変な成長である。

これは、主に近来の“ドル安”を利用して諸企業が
資本財の投資を拡大した事に依るものであるが、
その背景にはパラグアイの国際的信用の
回復がある事は明らかである。

然し、一方では此れ等の現象は凡そ大豆、マイス、
小麦など農産物の国際市場価格の騰貴に
依るバブル経済で、所謂国家マクロ経済の恩恵は
一般の末端市民層には行き届かない、
又は実感し難い処に問題がある訳で、
依って「成果の敷衍(ふえん)が焦眉(しょうび)の課題」
であると憂慮する識者もいるのである。

新年に当たり、明朗な話しとして語りたいのは、
年の瀬も迫るクリスマス祝いの前に、
ロヘリオ ・ ベニテス公共土木大臣も出席した
忘年会の席上、同省の資源エネルギー次官、
エクトル・ルイス・ディアス技師が明らかにした処では、
先にチャコのガビノ・メンドサ地区で天然ガス資源の
試掘に実績がある英系CDS・Energy社と提携する
Morrison Miningとパラグアイの
Primo Cano Mendoza社が、
先ず今年からガス田及び油田の採掘に本格的に
取り組む体制を整えた他に、
西部(チャコ)並びに東部パラグアイの各地で
7社の専門企業が着々と石油やガス資源の
探索準備を進めていると云う事である。

 これ等の予備調査や基盤整備工事には既に
多額の資金投資や大量の機材が持ち込まれている。
わがパラグアイ国悲願の石油や天然ガスの産出が
現実化すれば、かってチャコの所謂“石油戦争”を戦った
多くの将兵の英霊も報われると云うものだ。

これ迄にも国際石油資本又は列強の政策の都合で
出るものも出なかった、世界でも最後の
保存資源と云われるパラグアイの
hidrocarburo(炭化水素:石油、天然ガス)
を、今年こそは何としても“噴出”させたいものだ。

加えて同じくエクトル・ルイス・ディアス
資源エネルギー次官は、
カナダ系のTrasandes Paraguay及び
Cnel. Oviedo Mining社がカアサパ県と
カアグアス県各地で良質のウラン鉱の
開発に従事している以外に、グアイラ県でも
凡そ6社程が金鉱の採掘を進めており、
何れも大いに将来が期待できる有望な事業として
注目されると語った。

これ等の企業は既に現地で大勢の作業員を雇用し、
相当の投資も行っているので、
各地元経済はこれ迄になく潤っている
新現象が起きている。

長期独裁政権から脱却し、未だ不完全乍らも
民主政体へ移行の道を辿っているパラグアイで
 国民は言論の自由を得て、
今ではマスメディアも言いたい放題に
ニカノル政権の悪政を衝いているが、
「偶には善政の面も取り上げて報道したらどうか!?」と、
昔は時々の政府を大いに論難した
ジャーナリスト出身の
ニカノル・ヅアルテ・フルトス・大統領ではあるが、
今度は逆に大層な“お冠り”(不機嫌)である。

何れにしても、パラグアイは地下資源に恵まれない
万年貧乏国と観念付けられていた国民にとって、
前述の経済勃興の兆しや、無いと思われた石油、
天然ガス、又はウラン或いは金鉱などの
鉱物資源開発事業のニュースは正に朗報であり、
ニカノル政権の遺業として評価す可きで、
これを受け継ぐ次期政権に依って
レジーム過渡期に終止符が打たれ、
民主政体への実のある移行が成就し、
待望の“経済離陸”が大きく羽ばたく事を
切に望みたいものである。

 (日系ジャーナル 新年号より)



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タグ : 日系ジャーナル パラグアイ政治

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