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2009.06.03 (Wed)

新連載 イグアスの風 第二の故郷に日系オバマを!

2、元CIA情報将校と右翼の機関誌の元編集主幹


「日本人は何事も徹底してやる民族ですからね。
合理主義、成果主義がいいとなると、
バ~ッとそちらに流れ日本中が窒息しそうな閉塞感に覆われ、
ストレス等で自殺者が毎年3万人を超えている有り様ですね。
さらに日本人の潔癖性がO157等の新しい病気を作っているのですよ。
人間はある程度、いろんな雑菌とともに暮らさないといけないのですよ」
若い時からインドやタイ、ミャンマーなど途上国のへき地で30年以上、
農業指導や植林活動等ボランティア一筋に生きてきた鈴木忠が
断定的な口調で言った。

鈴木は同協会を創立した故・高野正厳総裁に青年期から
師事してきただけにボランティア精神の固まりのような人物だ。
6年間のブラジル、パラグアイ勤務で「忠さん」の愛称で
南米日系社会の隠れた著名人だ。
「顔の見える国際貢献」をモットーとする彼は
数々のビッグプロジェクトを立ち上げてきた。

「日本人は島国の良家のお坊っちゃんみたいなもので
外交が全く駄目だね。中国人や韓国人はしたたかですよ。
アメリカでのロビー活動はすごいよ。
とうとうアメリカ下院で慰安婦非難決議を可決させたからね。
お坊っちゃん外交官だけに任せてきたからこんな体たらくだよ。
海外在住日本人、日系人に地下水脈を通じて水まきをして
彼等の活用を考えないと弱肉強食の国際社会で干されてしまうよ。
北朝鮮の拉致被害者問題でもアメリカだったら
武力を使ってもでも取り返すよ。北朝鮮は伝家の宝刀、
核を持った以上、絶対手放さないよ。
核を持った彼等はコワイヨ~、何しろ“火病“の民族ですからね~」
とロスから来た実業家の安田ジョージ。
彼は沖縄からアメリカに移住した一世だが、帰化している。

火病とは、韓国人特有の精神疾患で、
怒りを日常的に押さえ続けると強いストレスを感じ、
やがて身体的障害を起こす病気である。
安田はアメリカ国内での中国人、韓国人の反日運動にたまりかねて
スペインやポルトガルの中南米における植民地政策と日本の韓国、
台湾等に行った植民地政策を比較し理論武装しようとペルー、
ボリビア、ブラジル、パラグアイ等を実地調査に来たという
憂国の士である。
さらに彼は北原が5年前、参院選に海外から立候補した時、
「海外日本人代表を国会に送る会」の北米の事務局長の
大役を担ってくれた人物である。

「スペインの中南米に於ける殺戮と収奪は目を覆うものがあるね。
彼等は先住民を動物以下に扱い皆殺しにした。
それに比べたら日本は朝鮮半島に教育やインフラ整備に
当時の国家予算の大半を投入してきた。
だから戦後、日本が作ったインフラがベースになって
急激な発展を遂げたのです」と安田。

確かに日本は満州や朝鮮半島、台湾、南洋諸島からなにも奪わず、
愚直に産業インフラを整備した。
それに比べ、スペインやポルトガルは中南米やアジアから略奪を重ね、
さらに文化や歴史まで破壊し尽くした。
これが原因で未だ中南米は貧困から立ち直れず呻吟している。
しかし、その彼らもそれらの植民地を英国、フランス、オランダに
奪われて以後、没落した。  

中南米に於ける彼等スペイン人コンキスタドールたちの
目をそむけるような残虐な行為は、1542年に書かれた
司教バルトロメー・デ・ラス・カサスの
『インディアスの破壊についての簡単な報告』がある。

インディアス(現在のハイチ、ドミニカ、キューバ等カリブ中米)が
彼等に発見されたのは1492年である。
その翌年、多くのスペイン人キリスト教徒たちが
インディアスに植民した。
それらの国々には無数の土着の人々インディオたちが
巣に群がる蟻のようにひしめきあい暮らしていた。
スペイン全土やポルトガルを加えたよりも大きなこれら
10以上のインディオ王国の1200万人から1500万人もの人々を
スペイン人たちは殲滅(せんめつ)してしまった。
それもたかだか僅か40年間に…。

インディアスに布教のため赴いていたラス・カサスによると、
彼等インディオたちは世界で最も謙虚で辛抱強く、
また温厚で口数の少ない人たちで、諍いや騒動も起こすこともなく
喧嘩や争いもしない人たちであった。
このキリスト教徒たちに対して恭順で忠実な彼らをスペイン人たちは
前代未聞の種々様々な残虐な方法で殺戮の限りを尽くした。
彼等は村々へ押入ると男は言うに及ばず身重の女も全て捕え、
腹を引き裂きずたずたにし、生きたまま火あぶりにした。

ナイフとフォークでヒレ肉を上手に切り分けながら
分厚い眼鏡の安田が持ち前のだみ声での告発が続く。

「アメリカの韓国人や中国人たちを見ていると彼らの心の奥にある
日本人への怨念は子々孫々まで続き、消える事はないように思えるよ。
金正日は父親の金日成の遺訓である核開発を絶対にあきらめず
今や日本やアメリカを恫喝しているしね。
その北では3代目を巡る権力闘争が激化しているようだね。在米韓国人たちもこの行方に大きな関心をもっているよ。何れにしろここ数ヶ月が勝負だね。3代目に権力が移行するとき若さゆえの暴発が危険だね」
      
「核開発といえば、戦後ひたすら経済大国路線を目指した日本と
核兵器大国を目指した中国の差異が今日これほど重大な脅威を
もたらすとはあの吉田宰相も思い至らなかったでしょうね。
これで日本はソ連、中国、朝鮮半島と核保有国に囲まれてしまった」
肉汁がついた口辺を手の甲で拭いながら北原が言った。

近年、経済大国、核軍事大国として国際的な存在感を増してきた中国は、
60年代、70年代、日本が経済至上主義を掲げて狂奔している時、
脇目も振らず核大国を目指した。
建国以来アメリカに「核攻撃をするぞ」と3度(朝鮮戦争・
インドシナ戦争・両戦争停戦時の50年代)も脅されて
屈辱を飲まされてきた中国は毛沢東の大号令の下、
核でアメリカを凌駕することを大目標に数百万人もの餓死国民を尻目に
核大国化へと軍事増強を図ってきた。
毛沢東は米ソの国際的発言のパワーの源は、
核保有にあると喝破して普通兵力の軍拡でなく核を持つことに
固執してきたのだった。

 現実、中国の核実験は1996年までに爆発回数で
46回行われており、新疆ウイグル自治区で実施した
核実験による被害で同自治区のウイグル人ら19万人が
急死したと伝えられている。
札幌医科大学の高田純教授(核防護学)によると、
実に急性の放射線障害など甚大な影響を受けた
被害者は129万人に達するそうだ。
尚、同教授によると被害はウイグル人のみあらず、
シルクロード周辺を訪れた日本人観光客27万人にも
及んでいる恐れがある。
 たとえ数百万人の餓死者が出ようとひたすら
核大国化を進めてきた彼の慧眼は的を射ていた。
米英中ソ仏だけが核保有を正式に認められ
他の国は「NO」(核の平和利用は認める。だが核兵器はダメ)
という大国の身勝手な条約NPT(核不拡散条約)が
破綻を見せ始めた今日、競って核保有を目指す国が増えてきた。
NPTに加盟していないインド、パキスタンや秘密裏に
核を保有しているとみられる南アフリカ、イスラエル、
さらには北朝鮮、イラン等々が恫喝外交の手段としての
核保有に固執している。

だが、その韓国は北朝鮮を経済援助するという融和政策で
北の核開発を助け、いずれ核大国となった反米反日統一韓半島を
目指している。
核大国、ロシア、中国、韓半島に囲まれた日本の自主防衛に
いったいどんな選択肢があるというのだろうか?

北の将軍様の暴走の御陰で日本や韓国にも
核保有論議が姦しくなってきた。

「日米両国が進めているミサイル防衛は全く役に立ちません」
元CIAにも関係があったロッキー新田が野太い声で言った。
72歳の新田は「パラグアイは人類に残された素晴らしい楽園だ。
パラグアイを終(つい)の棲家にしたい」とロスから移住して来た。
頭をつるつるに丸めている彼はかってフランス外人部隊に所属し、
アフリカや中東などの紛争に傭兵として戦い、
その体験記を出版している。

「確かに日本の技術力をもってすれば核兵器は
すぐにでも作れます。
だが問題はそれを発射するミサイルや潜水艦やサイロなども
必要になる。だから、日本が実戦配備するまでには最低でも
10年かかる。その10年の間に中国は
核ミサイル数百発の照準を台湾や日本に合わせたまま
恫喝してくる。
後、4、5年で台湾は中国に併合されます。
日本は中国の核ミサイルの恫喝に耐えられると思いますか?」
新田は歯のない顔でニヤリと笑い皆を見回した。

ロスでコンバットスクールを経営していた彼は
実戦的格闘訓練で顔面をガンガン殴り合うため
歯を全部抜いている。

「台湾は既に逃げ場としての広大な用地をパラグアイに
確保しています。首都アスンシオン対岸チャコに
第2アスンシオンとして青写真も出来、
パラグアイ河に架ける橋の位置も決まっています。
李登平元総統、陳小郎総統が何度も来パしてこの国に
莫大な無償援助をして友好関係を築いていますよ」
北原が説明した。

日本は中国のパンダ外交に幻惑されたのか、
79年から対中ODA供与を始めた。
日本の莫大なお金が中国の軍事力増強に貢献してきた。

CIA関連機関の情報将校だった新田が
「日本のODA数兆円で着々軍事力を増大する中国は
アメリカまで到達する核ミサイルを保有するようになった。
宇宙の覇権をも視野にいれた中国は、なりふり構わず
東シナ海から南シナ海までの制海権を
手にいれようとしている。
香港で中国の朱成虎将軍が米英大手メディアとの記者会見で
“アメリカが台湾との紛争に軍事介入するなら、
中国はアメリカに対する核攻撃の用意がある。
中国は西安より東の都市をすべて犠牲にしても、
我々は米国に核兵器で応戦する。
アメリカは数百の都市が破壊されることを覚悟すべきだ”
などと発言しているよ」

「コホッ、コホッ!」誰かが小さく咳き込んだ。

「その朱成虎将軍が05年国防大学の内部会議で行った
次の様な講話がある中国の雑誌に載せられている。
“人口問題を削減するには、核が最も有効にして
手っ取り早い方法だ。
もし、我々が計画的に全面戦争に出れば、
情勢はきわめて有利である。
なぜなら他の国と比べ、我々の絶対多数は農村にあり、
しかもわが国の国土、地形は非常に複雑で隠匿しやすい。
だから政府が核大戦を用意周到に計画さえすれば、
人口を広大な農村に移して絶大な優勢を保つことが出来る。
しかも我々が先制攻撃をすれば、他国の人口を大きく減らし、
我々が再建する場合には、人口的な優勢を保つことが出来る。
だから政府はすべての幻想を捨て、
あらゆる力を集中して核兵器を増やし、
10年以内に地球人口の半分以上を消滅出来るように
しなければならない。この核大戦願望を狂人の妄想と
笑えないのは、中国人が熱狂的に支持していることですよ」。

岡目八目、日本の置かれた危うい状況がよく見える。
これまでもコラムで中国問題を取り上げてきた
北原が背伸びをしながら言った。
「民主国家と一党独裁国家の核による“チキンレース”
どちらが先に白旗を上げるか、誰でも分かりますよね。
93年だったか、中国の李鵬首相が訪中した
ポール・キーティング首相に“日本などという国は
30年経てばこの地球上からなくなっている”
と放言したそうだが、
意外とその発言も現実味を帯びてきましたね」

「僕はどこに行く時もいつもこれをポケットに
しまっているよ」と
新田が掌に金色の鈍い光を放つ塊を見せた。
金塊だった。
「国境線のジャングル等をさ迷う事がよくあるが、
そんな時、どの国に出るか分からないのでドル札等役に立たない。
金だったら世界中どこでも換金出来る」

華僑が金など貴金属をいざと言う時に大事に持ち歩く、
とはよく聞いたが、様々な修羅場を潜り抜けてきた
ソルジャーから直接聞いて北原は新田の苛烈な人生を思った。
彼はこのパラグアイにも何度か来ている。
「日本はダメですよ。もう救いようがない。
日本に住んでいる僕の一番弟子、金田健二という青年が
移住したいと言っているんですよ。遊べ遊べと言うのですが、
真面目な堅物でねぇー。永住権の手続きをお願いしますよ」

「移住、大歓迎ですよ。日本とパラグアイは移住協定があり、
85000人の移住枠満杯になるまでウエルカムですからね」
事実、この移住協定はいつまで、
という年度に関係なく受け入れるという世界でも稀有の
日本人移住受け入れOK国だ。

「もう一人、右翼団体が出している機関紙の編集主幹の
玉田登志彦という人も移住してきますよ。
彼は歌も詠む文化人ですよ。歳は僕と同じくらいですがね。
彼も日本に見切りをつけています。
彼がいつも言うことなんですがね。
日本はあの戦争は勝つ戦争だった、というんですね。
というのは、真珠湾攻撃さえしなければ、
アジアの地下資源も確保出来、
また、アジアからイギリスやフランス、
オランダを追い出して大東亜共栄圏を確立出来たのに、
と嘆くんですね」

その玉田編集主幹の説明では、
勝つべき戦争を敗戦に至らせたのは、
戦争を知らず武士道精神を侮蔑し、
西洋かぶれした偏差値エリートたちが
愚かな指揮をとったからだと言う。
そもそも、当時の日本には陸軍上層部にソ連の赤色革命、
共産主義を崇拝するグループがいたこと、
更には、海軍上層部に英米崇拝派がおり、
陸軍、海軍はお互いを憎悪していた。
陸軍ソ連シンパは、たとえ破れても日本で
共産党革命を起こし、
ソ連を引き入れ日本を共産国家にするという
売国思想を持っていた。
一方、ヒットラー嫌いの英米シンパの海軍上層部は、
3国同盟をした陸軍に従うのを嫌悪して、
敢えてだまし討ちの真珠湾攻撃をしてアメリカを激怒、
参戦させようと企図していた。海軍上層部は初戦、
大暴れしてアメリカとの休戦和平を図ろうと
甘い見通しをしていた。
どうせ負ける戦争ならアメリカの属国になる方が
マシだとも考えていた。
日本の軍隊上層部に人類の理想とも言える共産主義国家ソ連、
または民主主義の文明国米英に負けることによって
日本の再生を図る、
という「負けるが勝ち」という亡国思想が一部にあった。

そもそもアメリカ国民の97パーセントが
欧州戦線への派遣に反対していた。
アメリカが参戦しなければイギリスは破れる。
真珠湾攻撃を日本海軍の英米チルドレンたちに示唆したのは
チャーチルである。
まさに海軍の真珠湾攻撃はルーズベルトを狂喜させた。
「リメンバーパールハーバー!」この手法は、
あのニューヨーク9/11同時多発テロでブッシュが
「これは戦争である!」として一気に
イラク戦争へ突っ込んでいったのと同じである。
常に謀略は繰り返される。

あの大戦の最大の失敗はアメリカに
参戦の口実を与えることになった
真珠湾攻撃の愚挙だった。
歴史に“イフ?”はないが、当時、
世界最強の日本艦隊をインド洋、
アラビア海方面に向かわせてシーレーンの確保に
全力を傾注しておけば、
アジアの植民地解放も油田も確保出来た。

パラグアイ移住を希望しているその玉田編集主幹に
北原は1年前、新宿のスターバックで会ったことがある。
その時、移住に必要な書類等について具体的な説明をした。
白い口ひげを生やした温厚そうな老人だった。
とても街宣車に乗ってガンガン北朝鮮や中国の非道を攻撃する
姿は想像出来なかった。             (続く)



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