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2008.02.07 (Thu)

パラグアイに女性大統領誕生か?

「時事斜断」

       「女性政権の到来か?」
                   坂本邦雄



昨年末来、赤党コロラドの次期公認大統領候補者の
指名争いが、ニカノル・ヅアルテ・フルトス大統領の
推す「リスタ-5」の前文部文化大臣
ブランカ・オベラル女史と、
「リスタ-4」の対立候補者ルイス・カスティグリオニ
前副大統領との間で激しい接戦となり、
12月16日当日の投開票では両陣営共に
各自が早々と勝利を宣言した。

しかし、お互いに相手の選挙不正を攻撃し、
形勢は多少ブランカ・オベラル女史側に有利と見えたが、
これをカスティグリオニ派は認めない為に、
赤党選挙管理委員会はブランカ・オベラル女史当選の
決定公表を控え、問題のネックと化したアスンシオン市の
赤党第18支部管轄の重要選挙区に限って、
補正再予選を12月30日にやり直す事にしたのは
周知の通りである。

 この結果はカスティグリオニ氏が執拗に
主張していた通り、同選挙区に於ける勝利が確認されたが、
全国にわたる総票集計ではアスンシオン市、セントラル県、
プレシデンテ・アジェス県、カアグアス県、カアサパ県、
アルトパラナ県を除く他の13県では「リスタ-5」の
ブランカ・オベラル&カルロス・マリア・サンタクルスの
正副大統領候補コンビが、4020票の差で
「リスタ-4」のカスティグリオニ派を制した事が
 1月21日(月)に“選管当局”に依り発表され、
翌22日19:00時、赤党本部で開催された党大会で
正式に赤党公認次期正副大統領候補者として夫々宣言を受けた。

なお、「リスタ-5」を構成したブランカ派の地方県知事、
県会議員、自治体(市長/市会議員)や国会議員等の
各立候補者も公認された。

赤党公認次期大統領候補に決まった
ブランカ・オベラル女史は、
「この上はリスタ-5もリスタ-4又は他の派閥リストも
存在しない。コロラド党員たる皆は過去の確執を忘れ、
今度は“リスタ-5”に代わった吾が新“リスタ-1”を
中心に大同団結して、来る4月20日の
全国大統領総選挙戦の必勝を期し、
健全なる福祉国家建設を誓って、
コロラド党悠久の政権存続に努めるよう!」と呼び掛け、
檄を飛ばした。

これ迄に至った幾多経緯の変遷は紙幅の関係で省略するが、
一方“負け馬”のルイス・カスティグリオニは
飽くまでもブランカ・オベラルの勝利は不正選挙に
依ったものであると主張し、絶対に認めない姿勢を
崩しておらず、その無効性を最高裁判所にまで訴えると
力んでいる。
何とも往生際の悪い醜態だが、なお自分は4月20日の
選挙では白紙投票で済ますと毒づいている。

更に悪いのは、カスティグリオニ派は
ブランカ・オベラル女史の呼び掛けには耳を貸さず、
コロラド党団結に協力しない 態度を示している事である。  

 一見すると、ブランカ・オベラル女史の政治前途は
多難に満ちているが如しで、 自身も洩らしている様に、
伝統的にマチズモ(男権主義)が根強いこのパラグアイで
苟(いやしく)も一女性が大統領選挙戦に
チャレンジするには、先ず相当な抵抗がある事を
覚悟しなければならない。

つまり一種の大きなジャンル上のハンディキャップが
あるのである。

なお、赤党古参の有力者
ディオヘネス・マルティーネス氏(元外務大臣)は、
もしブランカ・オベラル女史がパラグアイ初の
女性大統領に選出された場合は、
ニカノル・ヅアルテ・フルトスを筆頭にする
赤党強硬主流派の影響下より離脱する必要がある。
さもなくば、かってのラウル・クバス政権の黒幕 
リノ・オビエドとの腐れ縁の如き轍を踏む事になり、
独自の政権運営が行えない、と云う意見である。

次いで、政界の曲者でパラグアイのラスプーチンに
例えられるフアン・カルロス・ガラベルナ赤党上院議員は、
アンドレス・ロドリゲス政権以来15年余りに亘り
現役を保って来た渡世術に長けた、且つ、
何かにつけて問題を起こす政治家であるが、
ワスモシ政権成立時(1993)には
対立候補ルイス・マリア・アルガニャの票を奪って、
アンドレス・ロドリゲス大統領が推す
フアン・カルロス・ワスモシを後継大統領に
当選させた工作に自分も関わった事実を暴露し、
恰(あたか)も今回もブランカ・オベラル女史の
赤党次期公認大統領候補指名に寄与したかの様な発言をして、
世論の少なからぬ顰蹙(ひんしゅく)を買った。

ブランカ・オベラル女史は、とんでもない事だと
大いに不機嫌で、こんなケシカラン人物は
遠ざける様に努めている。

女性大統領と云えば、チリ国でラ米初めての公選に依る
ミチェレ・バチェレト 女史が既におり、
隣国アルゼンチンでは昨年末
クリスティナ・キルチネル大統領が晴れて就任した。   

かって同国のフアン・ペロン大統領の政権初期9年間を支え、
33才の若さで子宮癌で夭折した神話的な
エヴァ・ペロン夫人の如きカリスマ性の有無が
問われるとしても、吾がパラグアイでも今年は
ブランカ・オベラル女史が初の女性大統領に当選し、
その女性政権下に於いて素晴らしいパラグアイ国が
開花する事を大いに期待したいものである。

他方、次期政権奪取に野心を燃やす
親伯派リノ・オビエド旧将軍(UNACE)の動きや
虎視眈々(こしたんたん)たる
左派愛国改造同盟(APC/フェルナンド・ルーゴ&
フェデリコ・フランコのコンビ)等、
何れの対抗勢力も 侮れなく、
今後4月20日の全国大統領総選挙へ向けての
与野党各派の選挙運動が激化するであろう。

ところで少々奇異に感じられるのは、
前記の問題のガラベルナ発言を聞いてか
何かの事情は分からぬが、フェルナンド・ルーゴ元司教が
或る外国の通信社とのインタービューで、
「私が大統領選に勝っても就任できるかどうかは
疑問である。何故ならば例の赤党の常套詐欺手段で、
勝った選挙も奪われるだろうからである。
なお、諜報筋の忠告では私の殺害を狙う刺客が
始終付き纏(まと)っており 身の危険を感じている。」と、
“降らぬ前の雨傘を開いている”弱気の発言の他に、
健康上の心配も周囲の者に洩らしている、と云う事である。 (了)

(日系ジャーナル 1/31号より)



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2008.01.25 (Fri)

「時事斜断」曙光を見るパラグアイ経済

「時事斜断」

  曙光を見るパラグアイ経済
                   坂本邦雄



昨年、暮も迫る12月下旬、わが銀行界でも
最も堅実な銀行の一つとして知られる、
インテルバンコ(伯国系)の営業不振説が突然流布され、
顧客が口座や普通預金の引出しに殺到し
又はオートマティック・キャシャーの前に終日列を作った。

これは30日の赤党コロラドの大統領候補指名補充予選を
控えた直前に正に経済撹乱を意図し、
世論を動揺せしめんとした悪質な政治的策略であり、
近来パラグアイ経済は着実に上向きつゝある矢先に
何(なん)たる事かと、心ある経済評論家連の怒りを買った。  

かかる事態の収拾に、ヘルマン・ロハス中央銀行総裁
及びインテルバンコ支店の
クラウディオ・ヤマグチ 総支配人(日系)は
緊急合同記者会見を招集し、インテルバンコ財政難の噂は
全く事実無根の話であると説明し、平静を保つ様に
一般市民に呼び掛けた。

なお、ニカノル・ヅアルテ・フルトス大統領も
インテルバンコの堅実性は疑いの余地なきものであると
弁護に努め、この許し難い悪意の流言飛語は、
形勢が悪い赤党反主流派(カスティグリオニ)の
明らかな焦りに依った策謀以外の何物でも無い、
と非難した。

確かに、ヘルマン・ロハス中銀総裁及び
セサル・バレト大蔵大臣が主張する如く、
パラグアイ経済は2002年のゼロ成長から
2007年には6.4%に飛躍し(2006年は4.2%)、
ニカノル政権最後の最良の年であった。

ラ・ナシオン紙とのインタービューで
ニカノル大統領は述べている様に、
余り人々は理解しておらぬが(又は率直に認めたがらないが)、
最近パラグアイでは社会の平穏を乱す暴動や
民衆の決起等が見られず、政治は安定し且つ世銀、
IFM・国際通貨基金、
CEPAL・ラ米&カリブ海諸国経済委員会等の
国際機関も指摘している通り、パラグアイの経済は
着実に発展しており、次期政権に対し、
これ迄に現政府が過去4年半に蒔いた種の結実たる、
明るい未来像のパラグアイを引き継ぎ得る基本的諸条件が
今では揃ったのである。

事実、中銀の経済統計に一寸触れるだけでも
2007年の経済成長率は、国内総生産(GDP)6.4%で、
これは1981年以来の過去25年間中に
見られなかった事で、インフレも5.5%に収まっている。

尚、金融業35%、輸出業60%、輸入業35%
及び国庫徴税も20%増と夫々目立った増進振りである。
外資導入も昨年は1億8千100万ドルに達し、
2002年の1,200万ドル及び2003年は
2,200万ドルに過ぎなかった低実績に
比べて大変な成長である。

これは、主に近来の“ドル安”を利用して諸企業が
資本財の投資を拡大した事に依るものであるが、
その背景にはパラグアイの国際的信用の
回復がある事は明らかである。

然し、一方では此れ等の現象は凡そ大豆、マイス、
小麦など農産物の国際市場価格の騰貴に
依るバブル経済で、所謂国家マクロ経済の恩恵は
一般の末端市民層には行き届かない、
又は実感し難い処に問題がある訳で、
依って「成果の敷衍(ふえん)が焦眉(しょうび)の課題」
であると憂慮する識者もいるのである。

新年に当たり、明朗な話しとして語りたいのは、
年の瀬も迫るクリスマス祝いの前に、
ロヘリオ ・ ベニテス公共土木大臣も出席した
忘年会の席上、同省の資源エネルギー次官、
エクトル・ルイス・ディアス技師が明らかにした処では、
先にチャコのガビノ・メンドサ地区で天然ガス資源の
試掘に実績がある英系CDS・Energy社と提携する
Morrison Miningとパラグアイの
Primo Cano Mendoza社が、
先ず今年からガス田及び油田の採掘に本格的に
取り組む体制を整えた他に、
西部(チャコ)並びに東部パラグアイの各地で
7社の専門企業が着々と石油やガス資源の
探索準備を進めていると云う事である。

 これ等の予備調査や基盤整備工事には既に
多額の資金投資や大量の機材が持ち込まれている。
わがパラグアイ国悲願の石油や天然ガスの産出が
現実化すれば、かってチャコの所謂“石油戦争”を戦った
多くの将兵の英霊も報われると云うものだ。

これ迄にも国際石油資本又は列強の政策の都合で
出るものも出なかった、世界でも最後の
保存資源と云われるパラグアイの
hidrocarburo(炭化水素:石油、天然ガス)
を、今年こそは何としても“噴出”させたいものだ。

加えて同じくエクトル・ルイス・ディアス
資源エネルギー次官は、
カナダ系のTrasandes Paraguay及び
Cnel. Oviedo Mining社がカアサパ県と
カアグアス県各地で良質のウラン鉱の
開発に従事している以外に、グアイラ県でも
凡そ6社程が金鉱の採掘を進めており、
何れも大いに将来が期待できる有望な事業として
注目されると語った。

これ等の企業は既に現地で大勢の作業員を雇用し、
相当の投資も行っているので、
各地元経済はこれ迄になく潤っている
新現象が起きている。

長期独裁政権から脱却し、未だ不完全乍らも
民主政体へ移行の道を辿っているパラグアイで
 国民は言論の自由を得て、
今ではマスメディアも言いたい放題に
ニカノル政権の悪政を衝いているが、
「偶には善政の面も取り上げて報道したらどうか!?」と、
昔は時々の政府を大いに論難した
ジャーナリスト出身の
ニカノル・ヅアルテ・フルトス・大統領ではあるが、
今度は逆に大層な“お冠り”(不機嫌)である。

何れにしても、パラグアイは地下資源に恵まれない
万年貧乏国と観念付けられていた国民にとって、
前述の経済勃興の兆しや、無いと思われた石油、
天然ガス、又はウラン或いは金鉱などの
鉱物資源開発事業のニュースは正に朗報であり、
ニカノル政権の遺業として評価す可きで、
これを受け継ぐ次期政権に依って
レジーム過渡期に終止符が打たれ、
民主政体への実のある移行が成就し、
待望の“経済離陸”が大きく羽ばたく事を
切に望みたいものである。

 (日系ジャーナル 新年号より)



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